Pulse第2楽章を公開
written 2007/1/30
Pulseの第2楽章、MP3公開に踏み切り。
まだ演奏をいじるべきという気もするが、どうも曲自体、自分ではあまり気に入っていないため気合いが入らない。ということでとりあえず公開してしまいます。
この第2楽章は形式としてはパッサカリア。バッハのあの有名な、感動的なオルガン曲よりも、ベンジャミン・ブリテンのさまざまな曲に含められた渋いパッサカリア楽章に心惹かれて。(でも真っ先に思い描くのは、子供の頃から大好きだったブラームスの第4交響曲終楽章だったりする。)
いつか書いてみたいと思っていた形式だが、そういえば変奏曲形式自体が初体験だ。なるほど、これが変奏曲か。と一人感心しながら書いた。イマジネーションを自由に遊ばせてみたいなら変奏曲形式がいい。少なくとも作曲の練習にはぴったりだ。
繰り返される8小節のバス旋律の上で(この主題は高声部にも現れる)、私は常に和声進行を変え、自在に調性を揺るがせた。これはすでに種々のフーガ試作をとおして試してきたことで、いまさら特別な達成ではない。
この曲の場合、さらにポップなバラードというイメージで書いた。
第1変奏と第2変奏(サビ部分)のメロディーはあとで繰り返されるので、パッサカリアであると同時に歌謡的な三部形式にもなっているかもしれない。このへんのメロディーはねらっているのでキャッチーだ。キャッチーすぎてつまらない、ひねりがない、というのが現在の作者の複雑な心境なのだが。
ポップな歌ということでこんな雰囲気になってしまったが、もうちょっと違う感触の音楽を書きたかったのだった。なんだか、私の音楽感覚のうちの、甘ったれた部分だけが露出してしまたような恥ずかしさも覚えてしまう。ではどう書き直すべきなのか? と問われてもすぐには回答できない。それならここが限界か? いや、そんなことはない。と思う。漠然としながらも「あるべき姿」の片鱗は見えつつある。「こうでなくっちゃ」という方向性がぼんやりと去来するのに、じっさいに書くとなると自分の作曲技術や素朴な音感覚などがその方向性にうまく乗っていかない。これが現状だ。
とりあえず形式上の狙いは達成できたので、これはこれで完成してしまってはいる。ということで、照れながら公開します。こんなのでも楽しんで下さる方がいらっしゃれば、それはそれで嬉しいです。
この楽章の半ばで急にバルトークみたいな雰囲気になり、ピアノが断続的に多調和音を叩き付ける箇所があるが、今の私はそんなささくれた気分。
そんな調子で第3楽章(終楽章)も一気に書いてみるか。・・・前二楽章と雰囲気が、あまりに変わりすぎてしまうだろうか。