ベンジャミン・ブリテン
written 2003/9/6 [ updated 2007/2/28 ]
Britten, Benjamin (1913-1976)
ブリテンの音楽は、よくわからない。
というのは、ストレートにはげしく表現する作曲家ではないので、
技巧がしっかりしてるのとか曲として整っていることとかはわかるのだけど、何をやろうとしていたのかが、最初ちょっとわかりづらいのだ。
しかし20世紀「現代音楽」のどの枠組みにも収まりきらない彼の音楽は、それだけ自由で、楽しい広がりを持っていると言えるだろう。一見保守的にも見えるが、当時の先鋭的な響きも随所に活用されており、よく聴いてみるとなかなか味わいが豊かだ。
どちらかというと、ソナタ形式的なドラマチックさではなく、並列的なやり方でブリテンの音楽は組み立てられているようだ。それはある意味では「とても現代的」かもしれない。また、ブリテンの音楽には何か「節度」のような抑止力があって、それが作品をわかりにくく、地味な存在にしているように思える。
自身優秀なピアノ演奏の腕前を持っていながら、なぜかピアノ曲はあまりないようだ。
早熟な才能を持ったこの作曲家の作品をいろいろ聴いてみたが、ベストは声楽曲のような気がする。
管弦楽伴奏の「セレナード」は、私にとってこの作曲家の印象を変えた曲である。また、オペラも大量に書いているようで、まだ私もなかなか聞き込んでいるとはいえない。
それと、ブリテンに関する書籍資料は日本では極端に少ないため、私自身、ブリテンにはやはりまだまだわからない点があるといったところだ。
ピアノ協奏曲 Op.13 (1938/45)
ブリテンの諸作の中では最もとっつきやすい一つかもしれない。プロコフィエフあたりに似た雰囲気で、親しみやすいメロディーが出てくるし、展開も楽しい。
春の交響曲 Op.44 (1949)
合唱つきの作品。楽しいメロディーも多く、充実した傑作だと思う。
戦争レクイエム (1961)
合唱の大曲。重く謹厳な空気に浸っている。
チェロ・ソナタ Op.65 (1961)
チェロ交響曲 Op.68 (1963)
ロストロポーヴィチとの出会いにより、いくつかのチェロ作品を書いたらしい。これらは非常に渋い、とっつきづらい作風なのだが、何度も聴き返すと妙に味がある。全体にブリテンは、後期に至ってどんどん晦渋になっていくようだ。