フランツ・カフカ
written 2003/9/6 [ updated 2006/5/31 ]
Kafka, Frantz (1883-1924)
カフカは刺激する。なんだかはっきりとは実像が掴めないのに、
その感触が脳にぴりりとくる。
アフォリズムやグスタフ・ヤノーホの「カフカとの対話」を読むと、
カフカ=「魂の放浪者」みたいな印象を受けるが、小説はきっちりと客観的に・冷静に書かれており、妙なリアリティがある。寓話的なものもあるけれど。
その謎の多い作品群は、「現代社会」と身体との接触がもたらすラジカルな「場」を、詩を書くことの不可能性の視点から表出しているような気がする。
カフカはもともと異質な小説家だが、こんにちでは非常な人気だ。その刺激的な触感が、陳腐な小説世界に食傷した人々を魅了するのだろう。
変身 (1916)
この小説はカフカ作品のなかでは、いちばんまとまりがよく、わかりやすい。
主人公の身体がこんなに異常な状態に陥っているのに、本人含め家族が意外とおちついているのが衝撃的。特にラストにおける家族の明るさ。
読後に強い孤独感にさいなまれる。