胸の痛み
written 2013/3/3
フルートとピアノのための「Way to the Winter Garden」を書き終えたのは1月6日で、その後Finaleで楽譜の改訂作業をし、済ませたのは2月3日。それ以降、まったく作曲活動を行っていない。楽譜改訂を別にすればもう2ヶ月が経つ。
この怠慢というか廃業状態は、気分的なものもあるし、どうしても書きたくなるような作曲アイディアが沸いてこないということもあるが、2年前、東日本大震災の直前の頃、歯周炎がひどくて集中できなくなり、作曲活動を中断していた状況に似ていなくもない。
ただ今回のは、どこが悪いのかよくわからない、部位の漠然とした「胸の痛み」である。
1月末ぐらいから胸の辺りがときどき(1日に1ー2回)痛くなり、いったんそうなるとそれが2,3時間続く。最初は「ぎゅーっという圧迫感」だったのが、やがて「ずきずきという強い痛み」に変わった。
胸の辺りと言っても、心臓なのか、肺などの呼吸器系なのか、胃の上部などの消化器系なのか、自分ではよくわからない。自分は以前から高脂血症っぽく、愛煙家でもあるので、やはり動脈硬化や狭心症を疑った。
2月中旬に総合病院を受診したが、そこは「総合内科」と言うのがなくて、受付の看護師さんに漠然とした症状を訴えたところ、かなり逡巡の末、循環器科に回された。以来、血液検査、尿検査、通常の心電図検査を行い、日にちを置きながら「24時間心電図検査」や「高負荷心電図検査」、さらにCTも受けた。
けれども、はっきりとした異状はない。脈拍が常に100以上なので「やや頻脈」ではあるのだが(若い頃はそうでなかった。数年前から頻脈なのだ)。
胸の痛みはいたたまれない感じになってきている。あまりの痛みに、夜中に起きたことも何度かある。
CTの日の朝に飲まされた「テノーミン錠(アテノロール)」は効果があって、あれを飲んでから2,3日は症状がなく、落ち着いた。だからあの薬を出してくれと医者に訴えたところ、
「ちゃんと検査して原因が究明されてないのに薬は出せない。じゃあ、カテーテル検査をしてみましょう」
という。
カテーテル検査というのは私は知らなかったのだが、なにやらそれなりにおおごとらしいのだ。1泊2日で検査入院することになった。予定は3月15日。
「テノーミン錠」が効いたのなら、やはり心臓/血管系の問題と思われるが、どうも妙な症状だ。狭心症の場合、「痛み」の自覚症状は数分で終わるはずなのに、私のは何時間も続くのだ。痛みが長い場合はより重傷の「心筋梗塞」が疑わしいが、それなら今までの検査で既にはっきりしていたろう。
自分は病死するなら肺癌だろうと自覚している。父も姉も癌で死んでいるし、タバコを長年にわたって吸いすぎだ。肺癌でも「胸の痛み」がある場合もあるそうだが、咳はそんなにないし、それならレントゲンですぐにわかりそうなものだ・・・。
メンタルの医者は、「内科で調べて何でもなければストレスでしょう」と言っていたが、それにしてはあまりにもくっきりとした痛みで、特に「雪かきなどの肉体重労働、タバコを吸った後、冷たい飲み物を飲んだとき」などに症状が出やすいので、器質的要因をやはり徹底的に調べるべきだろう。何しろ痛みがやりきれないので、とにかく痛み止めの薬が欲しいのだ。
しかしカテーテル検査でも、異状が出ないような予感がしている。
その場合、どうしたらよいか? また時間と金をかけて、肺や胃をも検査するべきなのか? 昨年夏に受けた健康診断では、血液の中性脂肪・コレステロール以外に異状は無かったのだが・・・。
最近は希死念慮がない。死にたくなっている頃なら、この痛みをどう受け止めただろうか。現在も、どうしても生き延びたいと思っているわけではなく、単に耐え難い「痛み」をどうにかしてほしいだけだ。
一般的日本人が健康で長生きしたいという価値観を私は心のどこかで軽視しているので、喫煙を続けているのも反抗のスタイル、「不健康賛美」の意思表示でもあるのだが、入院中は禁煙だし、タバコをやめることになるかもしれない。
とりあえず落ち着かないと、作曲する気が、まだしない。