「Genesis of Time」公開
written 2011/5/14
ヴァイオリン、ピアノにエレクトロニクスを組み合わせたクラシカル・スタイルの曲「時の生成 Genesis of Time」を本日公開。
曲としては4月下旬に完成していたが、なんとこの曲の独奏パートをエクアドル在住のヴァイオリニスト、前田ただしさんが演奏し、録音してくださるという、願ってもないお話をいただき、私の貧弱なソフト音源と差し替える形で、ミックスし直した。
さすが生身の人間がつむぎだすパッションは、コンピュータの音源などでは真似できない。特に擦弦楽器は。ただし相変わらずミックス下手なので、ヴァイオリンのピッチが下がっちゃったり、不細工なところはすべて私の責任である。
時の生成 Genesis of Time (Violin played by Tadashi Maeda)
音源ファイル: http://www.signes.jp/musique/mixtures/GenesisOfTime.mp3
掲載ページ: http://www.signes.jp/musique/index.php?id=736
元来人間に演奏してもらうことを想定せず作った曲で、ヴァイオリン曲として見てもずいぶん荒っぽく譜面もいい加減なものであり、前田さんにはずいぶんご苦労をおかけしてしまった。にも関わらず、こんなど素人の稚拙な曲にプロフェッショナルな方から過分なご厚意をいただいて、それと釣り合う感謝の言葉も見つからない。
自分の曲を誰かに(公式な形で)演奏してもらうというのが長年の夢だったが、期せずしていきなりかなったことになる。前田さんはさらに、5月26日、エクアドルのキト(たぶん)でのリサイタルで、これを取り上げてくださるそうだ(前田さんのWebサイト参照 http://www.tadashimaeda.net/ あの高橋悠治さんの曲の次に並んでる・・・。下のJohn Coriglianoさんも、交響曲のCD持ってます・・・)。めまいがしそうな幸運。しかしさすがに遠すぎて聴きに行けないが・・・。
たぶん私の人生で最高の幸福が実現した。ほかの部分でさんざん不幸に見舞われても、満足して死んでいくべきかもしれない。
なお、この曲はもともと、震災チャリティ用に書き始めたものだったが、そのことは気にせず自分がいま書きたいように書いてみたら、あまりにもクラシック(現代音楽)的になってしまったので、ボカロ曲を中心としているらしい今回のチャリティ企画には、全く不向きと気づいた。(チャリティ用には結局その後、新たにボカロ曲を作った。「THING」という、けっこう普通っぽい曲。そのうちiTunesやAmazonでMP3が有料配信されるはず。)
しかしこの曲の後半の方、なにやら悲劇的な色調を帯びているのは、やはり意図せずとも東日本大震災という巨大なカタストロフの、私自身への影響が現れているのだろうか。
プロの方に自分の曲を演奏していただくなどという幸運は、たぶんもう二度と私の人生では起きないだろうと思うが、万が一にも再びチャンスがあったときのために、一応ピアノ曲なども、きちんと演奏しやすい形で残しておきたいと思い直したところだ。