アレクサンドル・スクリャービン
written 2003/9/6 [ updated 2006/6/1 ]
Scriabin, Alexander (1872-1915)
スクリャービンは音楽史の異端児だが、なかなか魅力的な音楽性を持っている。
人格面ではサティなどとは違う意味で非常な変人と思われるし、ニーチェっぽいところもある。その音楽は感触的な音組織を積み上げ、恍惚郷をめざして突き進む。通常の和音の構成音を半音ずらしたりすることで神秘的なひびきをつくりだしたり、「どんな音でもあう」らしい「神秘和音」を編み出したり、とにかく秘教的。
スクリャービンの作品の最良の部分は比類ない美しさに到達する。
ピアノ・ソナタ 10曲 (1887-1913)
後期のソナタは「白ミサ」「黒ミサ」等の名称が示すように、秘教性を増し、呪術的でもある。意外に対位法的な書法も興味深い。交響曲第4番 Op.54「法悦の詩」 (1907)
美しいモティーフと和音に満たされた傑作。これはひとつの典型である。