物語
... 思考
written 2002/1/15 [ updated 2006/5/28 ]
・ある精神が数々の困難を経て、最後には偉大な栄光を勝ちとる。
・ある2人が不和や誤解を経験しながらも、最後には理解しあい、愛情へと到達する。
・ある悪者(逸脱者)が改心し、善人たちの共同体に帰ってくる。
例としていくつか挙げたにすぎないこうした「物語」は、たぶん、いくつかのプロトタイプに回収することができる。
物語とは、社会が生み出した欲望の作品だ。
それは明示的な意味や暗示的な意味を組み合わせながら、社会が私たちに課そうとする掟の網目をなすのかもしれない。
私たちは物語が好きだ。
物語は読む(聞く)者の主体を、物語中の主体へと同化させながら、最後にはそれを書いた主体(秘められた社会の網目)へと合一させるという構造をもつ。
ここでは読み手の主体が、簡略化された記号の織物のなかに解体され、再構成されるため、物語は集団無意識を生成する装置となるだろう。
物語は文化の中のどこにでも登場する。たとえば音楽の中にも。
物語は無限に反復されるだろう。
しかしそれは言語世界に付着するものでしかない。
私は物語を超えて生きなければならないのだ。
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