吉本隆明
written 2003/9/6 [ updated 2006/6/2 ]
Yoshimoto Takaaki (1924-)
戦後日本の最大の思想家とも評される人物。
『マス・イメージ論』に出会ったとき、身を割られるような衝撃を覚えた。
それ以後、私は「吉本隆明を読む高校生」となり、
全部ではないが何冊も吉本氏の著作を買い集め、
何度も何度も読み返した。
共同体の幻想を語り、文学の解体を語り、
「超」資本主義について語る氏の著作に魅惑されてきた。
その文体は文学者(詩人)らしい曲折を持ち、
哲学者のそれとは明らかに異なるなまなましさがある。
現在、私じしんは吉本思想からずいぶん離れてしまったが、
未だにときとして、その著作を読み返す。
特に「情況への発言」はなまなましくて面白い。
日本はゆっくりと「死」へと向かっている、とする近年の洞察にはうならざるを得ない。
マス・イメージ論 (1984)
ここで吉本隆明は文学や芸術が解体し、
「サブ・カルチャー」がきわめて高度な表現にまで到達したことを指摘する。
この前後、日本は「ポストモダン」的状況の渦に飲み込まれ、
軽くて刺激的な言説が飛び交うようになる。
そうして、バブルがはじけたのだが。
だが、ポストモダン状況と吉本思想とは、直接は関係が無い。
今思うと、これは自己解体の書ではなかったか。